昭和工務店東京支店リノベーション

土間と土壁のオフィス

東京都大田区に移転する工務店のため、鉄骨造３階建て一棟を改修する計画。

敷地は京急蒲田駅の最寄りで、第一京浜から一本入った住宅地にあり、国道沿いのややドライな印象のある環境であった。一方で、前面道路側には高木のメタセコイヤの並木が整備されており、オフィスにとって豊かな借景となっていた。

 

改修にあたっては、下記２点をテーマとした。

・「生命を持つ建築物の創造」「自然との融合」という企業理念を体現し、かつ周辺環境に呼応する建物へのリニューアル。

・工務店特有の頻繁な出入りに対して、「クイックな集中環境」と、出勤時や現場からの出入りの際に職員が顔を合わせて情報を共有するための「集まる場」であるという両面的な役割を果たすワークプレイス。

 

二点を具体化するために計画したのが、「土壁」と「土間」の設えである。

周辺環境や既存建物の工業的印象を、自然素材に包まれた場にするため、内外装では多くの場所を左官仕上げによる「土壁」とした。外の風景から室内まで、土に包まれた空間が連続し、既存の印象を大きく変える場とした。​

主なワークスペースとなる３Fは、室内の半分を「土間」空間とした。現場で汚れた靴でも気軽に出入りでき、広々したスペースは図面や道具を広げるのに適した場とした。レイアウトの変更も自在でフレキシブルな活用が可能である。窓際のラウンジエリア・作業エリア・小あがりの事務エリア・応接室と異なるエリアを並列に配置。それらはワンルームのような連続空間とし、左官仕上げの壁と天井が一層空間全体を一体感のある雰囲気にまとめている。

流動的で出入りも多い働き方だからこそ、ひとときオフィスに滞在する時間が、自然素材に包まれた気持ちの良い空間であってほしいと考えた。そして、職員同士が同時に在籍する際は、顔が見え、情報共有、食事、雑談、打ち上げなど、日常の様々なシーンにおいて、同僚の存在をより意識できる「集まる場」として機能することに期待している。

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所在地：東京都

用途：オフィス

構造形式：鉄骨造

種別：１棟改修工事※２階のみ対象外

​竣工：２０２５年

クライアント：株式会社　昭和工務店

設計：エリアノ一級建築士事務所＋甘粕建築設計事務所

施工：昭和工務店

撮影：甘粕敦彦​​​